風邪対策ハーブの続きです。
今回は、風邪の諸症状とそれに合うハーブをご紹介します。
風邪の原因にはウイルスや細菌など色々ありますが、「種類は違っていても症状はほとんど同じ」なので、原因はなんであれ、風邪の対処法は同じでよいかと思います。
※メディカルハーブは病気の予防や早期治療などの作用が期待できますが、ここに書かれている内容は「医療行為」ではありません。
※少しでも「変だな?」と思ったら、自分で治そうとせずに医療機関へ行ってくださいね。
悪寒や発熱
*なぜ悪寒や発熱が起こるのか?
①高温が苦手なウイルスが増えないようにする、体の防御反応
②免疫活動を活発にさせる(具体的には白血球の働きが活発になって敵をめっちゃ食べる)
※「免疫」とは体の中に入ってきた異物(病原菌とか)を退治しようとする防御システムのことです
*対策
まず「発熱」は体が病原体と戦っている証なので、邪魔をしないように体を冷やさず温めることが大前提です。
悪いのは熱ではなく、断りもなく体に入ってきた病原体です。
「悪寒」とは発熱の初期に起こるゾクゾクする寒気の事で、「これからどんどん体温を上げて菌と戦うゼ!」っていう体からのサインなので、やっぱり体を温めて戦いに備えて下さい。
かつ、風邪をひいている時は体のあちこちで炎症が起こっていてエネルギーを消耗しがちなので、安静にすることも大切です。
「鎮静」というハーブ以外ではあまり聞かない作用(簡単にいうとリラックス作用のこと)で体を休めましょう。
- エキナセア(寒気がする時は特にオススメ)
- エルダーフラワー(発汗)
- ジャーマンカモミール(鎮静)
- リンデン(発汗、鎮静)
経験でいうと、エキナセアは夏の暑い時期に職場で夏風邪が流行っていたので「予防しておこう」と思って寝る前に飲んだら、体がメチャメチャ熱くなって眠れなかったことがありました。(なので「寒気がする時」って書きました)
私の体が比較的反応しやすいという理由もありますが、「穏やかに眠って風邪と戦いたい」と思うならジャーマンカモミールやリンデンをお勧めします。
のどの痛み
*なぜのどが痛くなるのか?
病原体が[のど]の粘膜にくっつくと体の免疫が「うわー敵が来たー!迎え撃てー!!」と反応して戦いが始まり、炎症が起こります。
その炎症によって痛みが出ます。
*対策
病原体がいなくなれば戦闘もなくなるので、抗菌作用のあるハーブでうがいをします。
痛みがひどい場合は体力の消耗を抑えるため、炎症を抑えたり粘膜を保護するハーブティーを飲んで、痛みをやわらげます。
うがい:タイム(抗菌、去痰)のチンキ
ハーブティー:ジャーマンカモミール(炎症を抑える)、ウスベニアオイ(粘膜を保護する)
うがいに使っている「チンキ」とはアルコール漬けのことです。この場合だとタイムをアルコール漬けしたものになります。
タイムはハーブ界でもトップクラスの抗菌力を誇るハーブなので、敵をやっつける時のうがいにもってこいです。
コップ一杯の水に対して小さじ1ぐらいのチンキを入れて、うがいをします。
ハーブのブログなのでハーブにこだわって書いていますが、市販のうがい薬(イソジンとか)みたいなものだと思ってください。
もちろんお茶にして飲んでもOKです。
基本的に風邪のときのハーブティーは「熱いうちに飲む!」が基本なのですが、のどが痛い時だけは少し冷まして、のどをガラガラしながら飲んだ方が良いかもしれません。
熱いお茶があっという間にのどを通過したら意味ないかも…?
痰(せき)、咳(たん)
*なぜ痰や咳がでるのか?
体の中に入ってきた病原体を体外へ排出するため。
痰の中に免疫細胞の残骸が混じると黄色くなる。
*対策
痰(たん):痰を出しやすくするハーブを摂取して、病原体をより早く効率よく排除します
咳(せき):痰によってそれぞれ対策が異なります。
①痰がからむ湿った咳 = まずは痰を排出させることが大切
②痰がからまない乾いた咳 = 咳を鎮めるハーブや、気管や気管支周辺の筋肉を緩めるハーブが良い
①フェンネル、タイム
どちらも痰を出しやすくする作用がある上、タイムは気管支周辺の筋肉を緩めて咳を鎮めてくれます
②マレイン、タイム
どちらも咳を鎮める作用があります。
鼻水、鼻づまり
*なぜ鼻水、鼻づまりが起こるのか?
鼻づまり:侵入してきた病原体と体の免疫が戦う事によって炎症が起こり、鼻の穴の内側の粘膜が腫れ、分泌液がつまって起こる
鼻水:侵入してきた病原体を体外に追い出すため
*対策
どちらも「侵入してきた病原体」が原因ですが[のど]のようにうがいしたりできないので、抗菌・抗ウイルス作用のある精油で蒸気吸入をします。
ユーカリ精油、ティートリー精油
【蒸気吸入のやり方】
①ボウルの中にお湯をはり、精油を1~2滴たらします。
②蒸気が逃げないように頭からタオルをかぶり、5~10分ほど蒸気を吸入します。
※必ず目は閉じて下さい!
香りの成分に抗菌作用があるので、この方法でもちゃんと病原体に働いてくれます。
飲んで治すハーブティーだと、鼻水・鼻づまりを鎮めるエルダーフラワーで体を楽にします。
エルダーフラワー(利尿、抗アレルギー)
昔これを習った時、「せっかく菌を外に出してるのにその働きを鎮めたらダメなんじゃ?」とか思っていましたが、いろんな本を読むと、どうやらエルダーフラワーは「余計な毒素を外に出すことで鎮める」という働きっぽいです。
「熱が高い時にさらに体温を上げるものを摂取することで熱を外に出す」っていう考え方と似てますね。
下痢・関節の痛み
*なぜ下痢や関節の痛みが起こるのか?
病原体が関節や消化器などに侵入することで起こる
*対策
下痢の場合、外に追い出さなくてはいけない病原体が体の中に居続けるのは良くないので、とにかく排出を心がけます。
(なので、なるべく下痢止めは控えた方がいいです)
注意が必要なのは水分不足です。ハーブティーでもスポーツドリンクでもなんでもいいで、まずは水分不足を補ってください。
大量に飲むと下痢が悪化する可能性があるので、少しずつこまめに飲むのがおススメです。
下痢中は特にビタミンやミネラルが失われやすいので、補給を心がけてください。
関節の痛みも病原体が原因なので、まずは血液の循環を良くして発汗を促し、スムーズな毒素の排出を助けます。
- エルダーフラワー(発汗、利尿)
- リンデン(発汗、利尿)
- ネトル(ビタミン・ミネラル補給、利尿)
どれも利尿(尿の出をよくする)作用があり、体内から病原体を外に追い出すのを助けてくれます。
まとめ
悪寒・発熱
→エキナセア、エルダーフラワー、ジャーマンカモミール、リンデン
のどの痛み
→タイムのチンキ、ジャーマンカモミール、ウスベニアオイ
咳(せき)・痰(たん)
→フェンネル、タイム、マレイン
鼻水・鼻づまり
→ユーカリ精油、ティートリー精油、エルダーフラワー
下痢・関節の痛み
→エルダーフラワー、リンデン、ネトル
エルダーフラワー率の高さがすごいですね。
うろ覚えですが、抗生剤が発明された頃、高価な抗生剤を買えない人達はエルダーフラワーを「貧乏人の抗生剤」と呼んで飲んでいたそうですよ(笑)