頭痛の漢方治療講座のレポートの三回目です。

 

今回は、偏頭痛の女性の症例をもとに説明をしていきます。

 

『頭痛の漢方治療』講座 平成29年11月16日

講師:大野修嗣 先生(大野クリニック院長)
場所:東京都薬用植物園薬草教室

 

6回もあるシリーズなので、こちらに目次をつくりました
 

症状1:片頭痛の女性

・40歳の女性。
・頭痛でイミグラン(片頭痛の薬)を服用。
・薬の使用量がだんだん増えてきて、気持ち悪くなって吐くことも。

所見)
体温・血圧・健診・内科診察に特に問題は見あたらない

発作の状況)
・頭痛前に左の三叉神経領域のしびれ(この人の場合、触っても分からなくなるのでこの「しびれ」は感覚マヒ)
・眼前に綺麗な虹がかかる
→「前兆のある片頭痛」と診断

漢方所見)
・普段は支障ない(娘にヒステリーじゃないの?と言われるぐらい生き生きしている)
・手がふるえ、発作的な発汗があると緊張がひどくなる

 

処方)
抑肝散(よくかんさん)

経過)
1ヶ月の服用で落ち着いてきて、3ヶ月後には頭痛はほとんどなくなった

 

抑肝散(よくかんさん)とは?

「自分ではコントロール不能の精神神経系の緊張」を治すものです。

元々は赤ちゃんの夜泣きに使っていたもので、赤ちゃんとお母さんの両方が服用するのだそうです。

なぜ、赤ちゃんの夜泣き用の薬をお母さんも飲むのか?

不思議ですが、答えを聞いて納得でした。

赤ちゃんはお母さんの状態にものすごく反応するので、お母さんが生き生きしていると赤ちゃんも生き生きするし、お母さんが落ち着くと赤ちゃんも落ち着いてくるのだそうです。

うん、たしかに!

赤ちゃんが吐いたりして抑肝散を飲めないときは、お母さんだけが飲んで落ち着くことで、赤ちゃんの夜泣きも自然とおさまるのだそうですよ。

母と子のつながりってすごいですね~

植物園で咲いていたハッカの花

抑肝散は認知症にも良い

認知症に良いと言っても、認知症そのものを治す訳ではありません。

抑肝散は「自分ではコントロール不能の精神神経系の緊張」を治す薬なので、徘徊したり攻撃的になったりする認知症の方の、その興奮状態を落ち着かせて穏やかにする効果があります。

 

私の祖母も認知症で興奮状態になる方だったので、これを聞いたときに「もう20年早く知りたかった…」って思いました。

興奮状態って周りの人も辛いですが、本人だって辛いんですよね。

ずっと怒り続けるってすごくエネルギーがいるし、認知症でどんどん周りが分からなくなってきて、怖くて、不安で、攻撃的になる気持ちって分かる気がしますもん。

祖母はもう亡くなってしまいましたが、この薬を飲んでいれば、穏やかに過ごせる時間がもっとあったのかも…と思わずにはいられませんでした。

 

抑肝散の作用

そんな抑肝散ですが、頭痛の薬といっても「痛み止め」ではありません。

というか、漢方は全体を治そうと作用するものなので、「頭痛の痛み止め」というものはないそうです

その人の精神状態を和らげてくれて、頭痛が起こらないようにしてくれるのが「抑肝散」。

自分ではコントロール出来ない精神神経系の緊張を治し、その結果として頭痛が起こらなくなる、そういう風に働く薬です。

 

ただし、ここで注意点が。

抑肝散は「自分でコントロールできない」状態に働くので、逆にいうと自分で「イライラしてるなー」と思う人には効果はありません

なので、例えば中小企業の社長さんみたいな人が自分の会社のスタッフにイライラする、という状況では抑肝散は使いません。

漢方って奥が深いですねえ~

次回に続きます!

(1時間半のセミナーなのに内容が濃すぎて終わりが見えません…)