知ってるようで詳しく知らないビタミンCの話

昔々、サプリメントが流行し始めた頃、陳列棚のほとんどを占めていたのはビタミンCだった気がします。

美容にしろ健康にしろ、数ある「ビタミン」の中でも重要視されているという事なのでしょう。

私も「美白効果がありそう」と思ってなんとなく買っていましたし。

そんなビタミンCですが、「なんとなく知ってるけど詳しくは知らないな~」とふと思いたち、どんな働きがあるのか調べてまとめてみました。

そもそもビタミンって何?

ビタミンCは当然ですがビタミンに属しています。
その「ビタミン」ってそもそも何?ということで、簡単にご説明を。

人は3大栄養素といわれる「糖質」「脂質」「たんぱく質」を食べ物から摂ることで、エネルギー源を得たり体をつくったりしています。

ですが、これだけで生きていける訳ではなく、それとは別に微量栄養素(その名の通り、必要量がめっちゃ少ない)と呼ばれる「ビタミン」「ミネラル」も生命維持に必要で、3大栄養素の代謝の潤滑油のような働きをしています。

ビタミンは、昔は「人の体の中で作り出すことができない栄養素」のことでした。

そう定義されていたのですが、最近ではコレステロールを原料にして体の中で少しだけ作り出せるビタミンDも仲間にいるので、

「人の体の中で十分な量を作り出せない栄養素」

という扱いになっています。

どれだけ大事な栄養素かというと、不足するとそれぞれのビタミンに応じた欠乏症を引き起こすレベルです。

ビタミンA不足→夜盲症
ビタミンC不足→壊血病 など

必要な量は少ないのですが、食べ物の中にもちょっとしか入っていないので、不足しがちです。

気をつけてくださいね!

 

ビタミンCと美肌効果

ビタミンCといえばこれですよね!大事!

ここでも説明しましたが、コラーゲンの材料としてビタミンCはとても大切です。

また、シミやそばかすの原因となるメラニンの生成を抑えてくれるので、美白効果もあります。

詳しく説明すると、メラニンはチロシンと呼ばれるアミノ酸の1つから

チロシン ⇒ ドーパ ⇒ ドーパキノン ⇒ (色々あって) ⇒ メラニン

こんな感じでメラニンへと変化していくのですが、ビタミンCはこのドーパキノンをドーパに戻す働きがあるのです。
(還元といいます)

また、濃色の酸化メラニンを淡色の還元型メラニンにする働きもあります。
(これも還元といいます)

2つの還元で、美白効果を生んでいるんですね!

「色の白いは七難かくす」

は真実だと思うので、手っとり早く可愛くなりたい人は「とりあえずビール」みたいな感じでとりあえずビタミンCを摂ると良いかと思います。

 

ビタミンCと抗酸化作用

美肌効果ばかり説明しましたが、ビタミンCがもっとも消費されるのは活性酸素の除去です。

「活性酸素」とは不安定な状態の酸素のことで、人間が生きていくために酸素を必要とする限り避けては通れません。

生きていくのに必要なものでもあるのですが、増えすぎると遺伝子を傷つけ、病気やシワや老化の原因になります。

なので、これを除去するためにビタミンCが頑張ってくれているわけです。

ここでビタミンCが大量に消費されてしまうと美肌効果まで届かなくなってしまうので、たばこ・寝不足・ストレス・不健康な食事など、「なんとなく健康に悪そう」と思うことは避けてくださいね。

たぶん、自分の肌の状態をみたら分かると思いますが…
寝不足の次の日の鏡とか、ほんっと見たくないですよね(涙)

 

ビタミンCとカルニチン

今回ビタミンCを調べていて、初めて知ったこの「カルニチン」

ダイエット効果があるんですね!全く知りませんでした。

脂肪酸の代謝を促進して、中性脂肪を燃焼させてくれる働きがあるそうなのです。
なんてこと。

詳しく説明すると、カルニンチンには「細胞質から脂肪酸をミトコンドリア内に運ぶ」という働きがあるのですが、これがめっちゃ大事なんです。

ミトコンドリアとは私たちが生きるために必要なエネルギーを生み出している所なので、運ばれた脂肪酸はエネルギーとなります。(正確にはATP)

カルニチンが不足すると脂肪酸がミトコンドリアに入ってこなくなるので、

・原料(=脂肪酸)不足でエネルギーが作れない
・細胞内に脂肪酸がたまっていく

という二重苦になり、脂肪の代謝が悪くなって太ります。
太ります。

……怖っ。

で、このカルニチンを体内で作るとき、ビタミンCが必要になるのです。
ようやくビタミンCに戻ってきましたね。

「ビタミンCを摂ればやせる」

とまでは言いませんが、ダイエットにも関係しているのは意外でした。

奥が深いわー

 

ビタミンCとコレステロール

人と同じようにビタミンCを体内で作れないモルモットを、ビタミンC欠乏状態にすると、血液中の総コレステロール濃度が上昇することがわかっているそうです。

コレステロールは肝臓でいろんな代謝を受けて「胆汁酸」と呼ばれるものになるのですが、ビタミンCが不足するとこの代謝がうまくいかなくなり、コレステロール濃度が上昇するのではないか、といわれています。

コレステロールにまで影響があるとは知りませんでした。
ほんっと奥が深いなあ。。

 

ほとんどの動物はビタミンCを作れる

こんな感じでとても大切なビタミンCですが、実は体内で作れない動物は人・サル・モルモットなど限られた動物だけで、他の動物は作れるそうです。

犬とか猫とか。

なぜ人は作れないのかというと、ビタミンCはブドウ糖から作られるのですが、作る手順で一番最後に必要な酵素にサルから人へ進化する過程で遺伝子変異が入ってしまったそうです。

『ビタミンCの事典』という本で作者が「進化の過程で大脳を発達させ、知能を開花させていくのにビタミンCを体内で作ることがマイナスだったのでは?」と仮説をたてておられて、とても面白いなと思いました。

脳が発達するのにビタミンCを体内で作ることが邪魔だったって面白すぎる。
そこにはどんな理由があったんでしょう?

考えれば考えるほどロマンですね。

 

まとめ

今回調べたビタミンCの働きは

・美肌効果がある
・抗酸化作用がある
・カルニチンを作るのに必要(ダイエット効果)
・不足すると総コレステロール濃度が上昇する
・進化の過程でビタミンCを体内で作れなくなった

でした。

まだまだたくさんあるビタミンCの働きなので、またいつか調べてみたいと思います。

 

参考文献

『ビタミンCの事典』 石神昭人・著(東京堂出版)
『栄養の基本がわかる図解事典』 中村丁次・監修(成美堂出版)

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